日本一わかりやすい小論文講座

大学受験に役立つ小論文の書き方について解説します

第6回 「模倣から、新しい表現は生まれない」と言う意見に賛成か反対か(北海道教育大学の小論文過去問)

 今回は2018年の北海道教育大学で実際に出題された小論文についてやっていきます。

 

 小論文の問題は次のとおりです。

f:id:essayexplanation:20220120120413p:plain

 

 まずは設問の指示をきちんと確認しましょう。指示は以下の3点です。

○「模倣から、新しい表現は生まれない」と言う意見に賛成か反対か示す。

○理由を説明するにあたり自分の体験や具体例を述べる。

○1400字以上1600以内で記載する。

 

 次に今回のような意見対立型の問題の場合、賛成と反対それぞれについて理由や具体例を以下のように洗い出してみましょう。

f:id:essayexplanation:20220120120538p:plain

「模倣から、新しい表現は生まれない」という意見に賛成の理由としては「全く新しい表現は既存の表現を完全に否定することから生まれることが多いため」という点が挙げられます。一方、反対の理由としては「新しい表現は既存の表現を組み合わせ、進化させることで生まれることが多いため」という点が挙げられます。

 

 次に具体例について説明します。まず、賛成の具体例として「19世紀後半にフランスで生まれた印象派の絵画はこれまでの写実的な絵画を完全に否定することで生まれた。」「20世紀にフランスで活躍したフワンソワ・ポンポンは彫刻からリアリズムを廃し、シンプルなデザインを確立した。」の2点を挙げました。

 

 次に反対の具体例として「日本の代表的な芸術家である岡本太郎縄文土器を参考にして自分の作品を作成した。」「ゲルニカなどの傑作を残したピカソセザンヌの画風をベースに自分のスタイルを作り上げた。」を挙げました。そして、最後は私自身の体験ですが「中学生時代に絵画コンクールで過去の受賞作品のいい点を参考にして描いたら入賞できた。」という点を挙げておきます。

 

 賛成と反対それぞれに対する自分の体験及び具体例を比べてみると反対の方が書ける内容が多そうです。今回は1400字以上も書かないとならないため、反対の方で書いていきましょう。

 

 実際に書き始める前に、具体例で示した美術について簡単に背景を説明しておきます。まずは19世紀後半にフランスで生まれた印象派の絵画についてです。

f:id:essayexplanation:20220120120820p:plain

 それまでヨーロッパでは人物や風景を忠実に再現した写実型の絵画が主流でした。ドラクロワが描いた「大衆を導く自由の女神」がその典型例です。しかし、クロードモネやその仲間は一般市民の日常生活や街の風景を独特のタッチと色彩で印象的に描く作品を世に出し、それらの作品が印象派と呼ばれるようになりました。印象派の作品はこれまでの写実的な作品とは大きく異なり、初めは批判を浴びましたが、次第に受け入れられることとなりました。

 

 ちなみに印象派の画家の多くは日本の浮世絵に強いインスピレーションを受けており、多くの印象派の作品には浮世絵の色使いが参考とされています。

 

 次は彫刻についてです。

f:id:essayexplanation:20220120120935p:plain

 オーギュスト・ロダンの「考える人」の彫刻はとても有名ですね。このロダンの弟子にフワンソワ・ポンポンという人がいました。彼は色々と試行錯誤した結果、師匠の作品とは真逆とも言えるシンプルな形状のシロクマと呼ばれる作品を作りました。この作品は現在流行しているくまモンなどのマスコットキャラクターの先駆けです。

 

 次は「芸術は爆発だ」で有名な岡本太郎です。

f:id:essayexplanation:20220120121020p:plain

 岡本太郎の作品で一番有名なのは大阪万博のランドマークである「太陽の塔」です。岡本太郎縄文土器を見たときに強く感激し、縄文人の持っていた激しいパッションを参考にして芸術作品を作成したと言われています。太陽の塔縄文土器と雰囲気が似ているのもそのためです。

 

 最後はキュビズムについてです。

f:id:essayexplanation:20220120121957p:plain

 キュビズムとは20世紀初めに、パブロ・ピカソジョルジュ・ブラックによって生み出された、新たな美術表現の試みのことです。一つの対象を固定した単一の視点で描くのではなく、複数の視点から見たイメージを一枚の絵の中に集約し表現しようとしました。ピカソゲルニカはまさにキュビズムの集大成とも言える作品です。

 実はピカソには師匠と仰ぐ人がいました。それは後期印象派セザンヌです。まさにセザンヌは、複数の視点での美術的表現を探求し、1つの対象でもわずかに異なる表現を同時に鑑賞者に味わわせる表現方法で絵画を描いた最初の人物でした。セザンヌの美術思想は、そのままのちにキュビスムに受け継がれました。セザンヌが描いた「リンゴとオレンジ」はまさに複数の視点から見た果物を描いています。

 

 それでは実際に小論文を書く前に、今回のような意見対立型の問題を回答する際のポイントを説明します。

f:id:essayexplanation:20220120122100p:plain

 1点目としては、書き始めは上記の様式を参考に書くのが望ましいです。2点目としては、意見(賛成/反対)、理由、理由を支持する根拠の順序で書くことです。3点目としては、反対意見への反論があると非常に望ましいです。特に今回のように字数制限が多い場合には字数を稼ぐ上でもとても有効です。4点目としては、最後に自分の主張(賛成/反対)を述べて文章を締めくくりましょう。

 

 それでは合格答案を見ていきましょう。

合格答案

 私は模倣から新しい表現は生まれないという考えには反対である。なぜならば新しい表現は過去の既存の表現の一部を模倣したり、組み合わせることで生まれる事例が数多く存在するからである。

 過去の既存の表現を一部模倣することで新しい表現を生み出した1点目の事例として、日本の有名な芸術家である岡本太郎が挙げられる。彼は非常に強い個性を持ち、徹底的にオリジナリティを追求して芸術活動を行っていた。そんな彼であっても、縄文時代に作られた縄文土器に激しいインスピレーションを受けて、自分の作品を作る際に積極的に参考にした。1970年代に大阪で開催された万国博覧会のシンボルとして、彼は太陽の塔を作成したが、その際、日本人に対して縄文時代の熱い魂を呼び戻すことを狙って作品を作成したと言われている。まさに岡本太郎は太古の文化を進化させることで新しい表現を生み出したと言えるであろう。

 2点目の事例としては、パブロ・ピカソが挙げられる。パブロ・ピカソは20世紀最大の芸術家と呼ばれており、様々な作品を世に残した。彼は、一つの対象を固定した単一の視点で描くのではなく、複数の視点から見たイメージを、一枚の絵の中に集約し表現するキュビズムと呼ばれる美術表現を確立した。そして、このキュビズムは絵画のみならず建築、文学など様々な分野において多大なる影響を及ぼすことになった。このようにピカソは新しい表現を作ることに成功したが、実は彼は後期印象派の画家であるセザンヌから大きな影響を受けており、実際にピカソは「セザンヌが唯一の師」だと語っていた。セザンヌは複数の視点から見た物の形を1つの絵画で表しており、この技法こそがピカソが自分の作風を確立する基礎となった。この点からも世界を大きく変えるような新しい表現であっても、既存の表現がその基礎となっている事例が存在するのである。

 既存の表現を複数組み合わせて新しい作品を作った事例としては、中学時代の私自身の経験が挙げられる。私は中学3年生の時に絵画コンクールに応募することになった。最初、コンクールで受賞されるために、他の人とは違うオリジナリティのある作品を作成しようと試行錯誤したものの、結局、自分が満足できる作品が作れずに困っていた。そこで考えを大きく変えて、これまでコンクールで優秀賞を受賞した作品を全て鑑賞し、作品の特徴を徹底的に調べ上げて、素晴らしいと思った技法や色使いを取り入れる形で作品を作成した。その結果、コンクールでは佳作に選ばれることとなった。この経験を通じて、新しい表現は必ずしも全くのゼロから作る必要はなく、既存の表現を自分なりに組み合わせることで作ることができることを学ぶことができた。

 模倣から新しい表現は生まれない事例として19世紀後半にフランスで起こった印象派運動を挙げる人がいるかもしれない。それまでフランスでは写実性の高い絵画が高く評価されていた。それに対して、クロード・モネなどは輪郭が曖昧で色使いが独特である印象派の作品を世に出した。確かに印象派の作品はこれまでのフランスで人気のあった写実的な絵画とは一切異なっていた。しかしながら、一方で印象派の画家たちは同時期に日本で流行していた歌川広重葛飾北斎などが描いた浮世絵から強いインスプレーションを受けており、淡い色使いなどを積極的に自分たちの作品に取り入れたと言われている。このように一見、既存の作品から大きくかけ離れている新しい作品においても、実は別の分野の作品を多いに参考にしていることが見受けられるのである。

 以上の理由から、私は模倣から新しい表現は生まれないという考えには反対である。実際のところ、多くの新しい表現は既存の表現の一部模倣や組合せを通じて作られているのである。

 

 この合格答案では、模倣から新しい表現は生まれないという意見に反対を示した上で、岡本太郎ピカソの例を出すととも、自分自身の体験談を紹介し、過去のものから新しい表現が生まれることを示しています。更に、自分の意見とは反対の意見に対して、印象派と浮世絵との関係を示すことで効果的に反論しています。

 

 みなさん、どうでしたでしょうか?正しい回答方法に基づき日頃から小論文を書くトレーニングをしていれば、確実に試験でも合格答案を書けるようになります。

 

 最後になりますが、このブログの内容は以下のYoutubeでも解説しています。もしよければご視聴ください。また、Youtubeにアップしている動画スライドについても参考までに添付しておきます。

www.youtube.com

 

 これからも皆様の小論文スキルが向上することを目指して、これからも情報発信を続けますので、引き続きよろしくお願いいたします。

drive.google.com

第5回 小論文の出題パターン3−2 グラフ・資料タイプの意見提示の問題

今回は小論文の出題パターンの1つであるグラフ・資料とセットとなった意見提示型の問題に対する回答方法について解説していきます。

f:id:essayexplanation:20220117114736p:plain

 

グラフ・資料とセットとなった意見提示型の問題の場合、最初にグラフ・資料を確認することから始めます。多くの場合、最初にグラフ・資料から読み取れる内容を述べることが求められ、その次にその内容に対する自分の意見を提示することになります。

 

それではまずは、グラフの種類について説明していきます。

f:id:essayexplanation:20220117114851p:plain

 

グラフは大きく分けて3種類あります。棒グラフは棒の高さで量の大小を比較します。例えば各国の人口を比較する際に適しています。次の折れ線グラフは量の変化を表します。例としては日本の人口変化を表すのに適してます。円グラフは全体の中の構成比を示します。例えばお店の全体売り上げに占める各商品の売上比率などを示すのによく使います。

 

グラフを確認する際のポイントは3つあります。

 

まず第一にグラフの全体トレンドを確認してください。特に折れ線グラフについて全体的に上向きなのか、下向きなので、横ばいなのか確認することが必要です。

 

第二としては、各グラフの中から特徴的なポイントを確認してください。棒グラフの場合は他と比べて著しく高いもしくは低い項目がないか。折れ線グラフの場合、線が急に上がっているもしくは下がっている時期がないか。円グラフの場合は全体に占める割合が著しく大きい項目がないかを確認することが必要です。そのような特徴的なポイントは出題者が注目すべきと考えている可能性が高いです。

 

第三として、グラフの内容について述べる際には必ず全てのグラフについて言及してください。出題者は全てのグラフに対して何らかの意図を持っています。もし、言及しないグラフが1つでもあったらそれだけで大幅減点になってしまいますので注意しましょう。

 

それでは例題をやっていきましょう。

f:id:essayexplanation:20220117115010p:plain

 

左側のグラフは18歳若者に「日常生活の中で経済的な「格差」を感じることはありますか。」と質問した際の回答を円グラフにしたものです。これを見ると50%以上の若者が格差を感じると回答しています。

 

右側のグラフでは1990年から2017年までのジニ係数の値を棒グラフで表しています。ジニ係数とは所得の格差を示す指標であり、値が高いほど所得格差が大きいことになります。

 

なお、棒グラフは2種類あり赤色が当初の所得についてのジニ係数、青色が再分配後の所得についてのジニ係数です。再分配とは政府が高所得者から税金や社会保険料などを徴収し、低所得者へ手当金や支援金を支給することで高所得者から低所得者へ所得を移転させる行為を指します。

 

最後の赤色の折れ線グラフは改善度です。これは政府による再分配の程度を示しています。再分配を積極的にやればやるほど改善度は高くなります。

 

それではグラフから読み取れるポイントをまとめていきましょう。

 

まず、円グラフについてですが、18歳の過半数が格差を感じていることが読み取れます。

 

次に棒グラフです。1点目として、再分配前の所得格差が拡大傾向にあることがわかります。一方、2点目として再分配後の所得格差についてはほぼ変化がないことがわかります。

 

最後に折れ線グラフについては、政府による再分配は強化傾向にあることがわかります。

 

ポイントを踏まえた回答案は以下の通りです。

f:id:essayexplanation:20220117115134p:plain

 

マスコミなどの報道もあり、格差が拡大傾向にあると考えがちですが、今回のグラフを見る限り、格差は拡大していないことがわかりました。実際に入試試験においても、一般的な考えとは異なる内容をグラフが示していることが多くあります。みなさん、自分の先入観に囚われずに、丁寧にグラフを読み込む習慣を身につけてください。

 

それでは設問2をやっていきましょう。

f:id:essayexplanation:20220117115211p:plain

 

グラフ・資料とセットとなった意見提示型の問題で自分の考えを述べる際のポイントは他のタイプの問題とほぼ同じです。

 

まず、グラフの情報を踏まえて、自分の新しい意見を書いてください。次に、意見、理由、理由を支持する根拠の順序で書いてください。最後に、根拠には客観的な事実を挙げてください。

 

それでは合格答案を見ていきましょう。

f:id:essayexplanation:20220117115312p:plain

 

この合格答案では、政府による積極的な所得格差の是正に賛成を示した上で、その理由として所得格差が子供の教育格差につながり格差の固定化を招く点を挙げ、実際に米国では深刻な教育格差が問題になっていることを根拠として示しています。

 

みなさん、グラフ・資料を見て答える意見提示型の問題の回答方法についてわかりましたか。正しい回答方法に基づき日頃から小論文を書くトレーニングをしていれば、確実に試験でも合格答案を書けるようになります。

 

最後になりますが、このブログの内容は以下のYoutubeでも解説しています。もしよければご視聴ください。また、Youtubeにアップしている動画スライドについても参考までに添付しておきます。

www.youtube.com

 

これからも皆様の小論文スキルが向上することを目指して、これからも情報発信を続けますので、引き続きよろしくお願いいたします。

drive.google.com

第4回 小論文の出題パターン3−1 文章タイプの意見提示の問題

今回は小論文の出題パターンの1つである文章とセットとなった意見提示型の問題に対する回答方法について解説していきます。意見提示型の問題は最初に文章を読んで答えるパターンと最初にグラフ・資料を読んで答えるパターンがありますが、今回は前者について取り扱います。

f:id:essayexplanation:20220116211559p:plain

 

文章とセットとなった意見提示型の問題の場合、最初に文章を読むことになります。多くの場合、最初に文章の要約が求められ、その次に文章に対する自分の意見を提示することになります。

 

それではまずは、要約について説明していきます。そもそも筆者は文章を書く際、自分の意見を読者に伝えるために、自分の言いたい事を表現を変えて何度も繰り返し述べます。更に、読者の理解を深めるために具体例を出したり、あえて反対意見を示してそれを反論したりします。

 

要約とはそのような文章の中から、筆者が伝えたいポイントのみを抽出して簡潔にまとめる作業になります。

 

要約するにあたっての具体的なプロセスは下図のとおりです。

f:id:essayexplanation:20220116213349p:plain

まず1番目に、タイトルに注目しましょう。タイトルは筆者の言いたいことを示唆していることが多く大きなヒントになります。

 

2番目に、具体例や反対意見へ反論しているパートを削除しましょう。これらは筆者が言いたいことを読者に伝えるためのサブパートであり、メインパートではありません。

 

3番目に、繰り返し述べられているパートをチェックしましょう。筆者は自分が伝えたいことを繰り返す傾向が高く、メインパートである可能性が高いです。

 

4番目に筆者の主張を示すワードをチェックしましょう。文の最後が「~と思う」「~と考えられる」「~すべき」「~である」「~しなければならない」「~が望ましい」「~が必要だ」と言ったワードで終わっている場合、筆者の主張を示すメインパートであることが多いです。

 

5番目には、結論を導く接続詞をチェックしましょう。つまり、したがって、要するに、すなわち、結論として等の接続詞はその後に筆者の言いたかったメインパートである結論がくる可能性が高いです。

 

それでは、例題をやってみましょう。

f:id:essayexplanation:20220116211946p:plain

それではこの文章の要約をやっていきましょう。

 

上の文章に対して、下図の通り、重要なパートは青字、削除すべきパートは赤字でマークしてみました。一つ一つチェックしていきましょう。

f:id:essayexplanation:20220116212139p:plain

まず題名は筆者の言いたいことを示している可能性が高いので青字でチェックしました。

 

次に、専門性を磨く前にまず幅広い教養を身につけることが必要である。という文ですが「~である」という筆者の主張を示すワードがあるのでメインパートとして青字でチェックします。

 

例えば生物学の研究をする際に地理や化学の知識が参考になることがよくあると思うが、という文は逆に具体例になるので削除すべきサブパートとして赤字でマークします。

 

「学問とはお互いに密接に関わり合っており切り離せるものではないのである。したがって、専門分野で活躍できる研究者には教養の知識が不可欠なのである。」の文は「である」という筆者の主張を示す言葉と結論を導く「したがって」の接続語があるのでメインパートとして青字でチェックします。

 

「教養を身につけるだけでは深い専門性が身につかないという意見もあると思うが、」という文は反論を示しているので削除すべきサブパートとして赤字でマークします。

 

最後に、一般教養を身につけないと何も始まらない。」の文は前に述べていることを繰り返しているのでメインパートとして青字でマークします。

 

それでは文章中の青字パートを全て書き出してみましょう。

○専門性を磨く前に幅広い教養を身につけることが必要

○学問とは互いに密接に関わり合っている

○専門分野で活躍できる研究者には教養の知識が不可欠

○一般教養を身につけないと何も始まらない

 

ここで内容が重複しているパートを下図の通り赤字取り消し線で削除します。要約を書くときには繰り返しは避けて簡潔に書くことが求められるからです。

f:id:essayexplanation:20220116212544p:plain

 

残ったパートを組み合わせると要約は以下の通りになります。

f:id:essayexplanation:20220116212628p:plain

 

皆さん、要約のやり方はわかりましたか。

要約は現代文などでもよく出ますので是非ともやり方をマスターしてしましょう。

 

それでは設問1 の要約に続き、以下の設問2を回答していきましょう

f:id:essayexplanation:20220116212822p:plain

 

なお、意見提示型の問題で回答する際のポイントは以下の通りです。

①筆者の意見を追従するだけではなく、自分の新しい意見を書く。

②意見、理由、理由を支持する根拠の順序で書く。

根拠には客観的な事実を挙げる。

 

それでは合格答案を見てみましょう。

f:id:essayexplanation:20220116213448p:plain

この合格答案では、最初に専門性を磨く前に幅広い教養を身につけるべきという筆者の意見に賛成を示した上で、学生が一般教養を身につけるために、東京大学京都大学の実例を挙げつつ入試試験や大学カリキュラムについて自分の新しい意見を示しています。

 

みなさん、文章を読んで答える意見提示型の問題の回答方法についてわかりましたか。正しい回答方法に基づき日頃から小論文を書くトレーニングをしていれば、確実に試験でも合格答案を書けるようになります。

 

最後になりますが、このブログの内容は以下のYoutubeでも解説しています。もしよければご視聴ください。また、Youtubeにアップしている動画スライドについても参考までに添付しておきます。

www.youtube.com

 

これからも皆様の小論文スキルが向上することを目指して、これからも情報発信を続けますので、引き続きよろしくお願いいたします。

drive.google.com

 

第3回 小論文の出題パターン2 課題解決型の問題

今回は小論文の出題パターンの1つである課題解決型の問題に対する回答方法について解説していきます。

 

小論文の出題パターンは大きく3つあり、上から意見対立型の問題、課題解決型の問題、意見提示型の問題となります。今回は真ん中の課題解決型の問題について解説をしていきます。

 

f:id:essayexplanation:20220113160740p:plain

 

課題解決型の問題では社会問題に対して解決策を示す必要があります。社会問題の例としては、少子高齢化地球温暖化、コロナ感染対策、女性の社会進出などです。

 

入試では日頃、ニュースで紹介されるトピックが幅広く出題されます。そのため受験生の皆さんには、日頃からテレビやネットでニュースをチェックする習慣を身につけることをお勧めします。

 

課題解決型の問題の回答方法は下図の通りです。

f:id:essayexplanation:20220116203557p:plain

 

まず1番目として、設問を正しく読みましょう。設問で聞かれていることを詳細に確認することが小論文では一番大事です。

 

2番目としては、課題の原因を書き出していきましょう。例えば少子高齢化の課題について聞かれている場合、女性の晩婚化、世帯所得の減少、育児制度の不備など様々な原因が挙げられます。ここでは、こういった課題の原因を漏れなく書き出すことが大事です。

 

3番目は、2番目で書き出した各原因ごとに解決策を書き出していきましょう。なお、2番目と3番目で原因と解決策を書き出す際にはロジックツリーを使うととても便利です。後ほど例題を解く際に、実際にロジックツリーを使っていきます。

 

最後、4番目は書き出した解決策の中から実際に小論文で書く解決策を選びます。なお、選定基準は次の3点です。

1点目、設問の要件に合致しているか

2点目、原因の解決に直接つながるか

3点目、実現可能性が高いか

これらの選定基準についても後ほど例題を解く際に詳細に説明をしていきます。

 

それでは例題をやっていきましょう。

 

f:id:essayexplanation:20220116203858p:plain

 

まず初めに設問の内容を詳細に確認しましょう。

ポイントは主に次の3点になります。

 

1点目:日本の食料自給率の向上のため、工業技術が農業分野に対して貢献できることとその理由を記載する必要がある。

2点目:設問では、農業の問題として「近年の気候の変化」と「農業就業人口の減少」を示唆している。

3点目:文字数は400字以上、500字以内で記載する必要がある。

 

次に、課題の原因と解決策をロジックツリーを使って書き出していきましょう。ロジックツリーとは、問題をツリー状に分解していき、論理的に原因や解決法を探すツールです。

 

設問では日本の農業の課題として、近年の気候の変化と農業就業人口の減少を示唆しているので、それを書いていきます。

 

近年の気候の変化については、温暖化と台風の巨大化が挙げられるのでそれを書いていきましょう。

 

最後に解決策を書き出していきます。まず、温暖化の解決策としては、高温に強い品種の開発が挙げられます。台風の巨大化については、強風や豪雨に強い栽培ハウスの建設が挙げられます。農業就業人口の減少については、収穫機械の開発と農薬散布用ドローンの開発が挙げられます。

 

出来上がったロジックツリーは下図の通りです。

f:id:essayexplanation:20220116204156p:plain

 

このようにロジックツリーを使うことで、設問の課題から各解決策を網羅的に書き出すことが簡単にできます。皆さんも是非使ってみてください。

 

それでは書き出した解決策を選定していきましょう。まず、①設問要件に合致しているかについてですが、「高温に強い品種の改良」については、設問が要求している「工業技術が貢献できること」には合致しません。品種改良は工業分野ではなく農業分野です。それ以外の解決策については設問に合致してます。

 

次に、②原因の解決に直接つながるかについてですが、農薬散布用のドローンの開発については農業就業人口の減少に対する直接的な解決策とは言い難いです。なぜなら、農作業全体に占める農薬散布の作業時間はそこまで多くないからです。

 

最後に、③実現可能性の高さについてですが、これは全ての解決策が十分な実現可能性を持っています。

 

検討の結果は下図の通りです。

f:id:essayexplanation:20220116204556p:plain

 

検討の結果、「強風や豪雨に強い栽培ハウスの建設」と「収穫機械の開発」が全ての選定基準をクリアしました。したがって小論文ではこれらの理由を書いていきましょう。

 

それでは、小論文を書く前に、課題提案型の問題の回答方法にについて説明します。

f:id:essayexplanation:20220116204710p:plain

 

まず初めに、解決策、課題背景、その背景に対する解決策の効果の順序で書くことを留意してください。次に、今回のように文字制限が500字前後の場合、1~2個の解決策を記載するようにしてください。最後に、解決策を記載する際には他国の先進事例などに言及できるとベターです。

 

それでは合格答案は次の通りです。

f:id:essayexplanation:20220117141949p:plain

 

この合格答案では最初の段落で強風や豪雨に強い栽培ハウス及び収穫機械の開発を解決策として提示しています。そして2段落目では、気候変化による台風の巨大化を課題背景として説明し、それに対して強風や豪雨に強い栽培ハウスの開発が台風による被害を防ぐことに役立つと述べてます。更に3段落目では、就業人口の減少を課題背景として説明し、収穫機械の開発が農業の生産性の向上につながることを述べてます。

 

みなさん、課題提案型の問題の回答方法についてわかりましたか。正しい回答方法に基づき日頃から小論文を書くトレーニングをしていれば、確実に試験でも合格答案を書けるようになります。

 

最後になりますが、このブログの内容は以下のYoutubeでも解説しています。もしよければご視聴ください。また、Youtubeにアップしている動画スライドについても参考までに添付しておきます。

 

www.youtube.com

 

これからも皆様の小論文スキルが向上することを目指して、これからも情報発信を続けますので、引き続きよろしくお願いいたします。

drive.google.com

第2回 小論文の出題パターン1 意見対立型の問題

今回は小論文の出題パターンの1つである意見対立型の問題に対する回答方法について解説していきます。

 

まず初めに小論文の出題パターンについて説明します。下図の通り、出題パターンは大きく3つあり、意見対立型の問題、課題解決型の問題、意見提示型の問題となります。

 

まず、意見対立型は相反する意見が提示され、それに対して自分の意見を述べる問題になります。

 

課題解決型は社会で課題となっているものが提示され、それに対する解決策を述べる問題です。

 

最後に意見提示型は、最初に文章やグラフ・資料を読んだ上で、それらの内容を踏まえて自分の意見を述べる問題です。

 

f:id:essayexplanation:20220113160740p:plain

 

今回は意見対立型の問題について解説をしていきます。この問題は他の2つの問題よりも回答方法がシンプルなので、是非とも今回のブログを読んでマスターしていってください。

 

意見対立型の問題は先ほども説明した通り、賛成か反対かなどと言った相反する意見が提示されて、それに対して自分の意見を述べる必要があります。例としては、日本の移民の受け入れに賛成か反対か、安楽死に賛成か反対か、消費税の増税に賛成か反対かと言った問題が挙げられます。

 

このような問題が出てきた場合、まず最初にそれぞれの意見を支持する理由を自分なりに整理する必要があります。そして、整理した理由を比較した上で、より書きやすい方で書くのがいいでしょう。わかりやすいように、これから以下の設問の回答を実際にやっていきましょう。

 

f:id:essayexplanation:20220113161138p:plain

 

それでは最初に、移民受け入れに賛成と反対を支持する理由を挙げていきましょう。

 

移民受け入れ賛成の理由としては、「労働力不足を解決できる」「国内消費が高まり経済が活性化する」ことがあげれらますね。

 

一方、移民受け入れを反対の理由としては、「犯罪が増えて治安が悪化する」「国内で民族対立が起きる」「日本は日本人のみが住む権利を与えられるべき」といった意見があるかもしれません。

 

これらの理由を下図の通りまとめました。

f:id:essayexplanation:20220113161452p:plain

 

次に、まとめた各理由についてチェックしていきましょう。ここで重要になるのは、理由は客観的である必要があり、逆に主観的なものでは試験官を納得させられないという点です。

 

今回の場合、移民受け入れ反対の3番目の理由として「日本は日本人のみが住む権利を与えられるべき」という考えが挙げられていますが、これは主観的なものなので削除しましょう

 

それでは移民受け入れ賛成と反対の各理由を比べてみましょう。賛成の理由である「労働力不足を解決できる」と「国内消費が高まり経済が活性化する」については移民受け入れの代わりに女性や高齢者の社会進出を促進しても達成できそうです。そのため、今回は逆の反対を支持するスタンスで書いてみます。もちろん、賛成で書いたらダメということではありません。みなさん、自分が書きやすい方で書いていただいて構いません。

 

意見対立型の問題で小論文を書くにあたっての留意点は下図の通りです。

 

f:id:essayexplanation:20220113162028p:plain

 

まず、書きはじめとしては、「私は以下の点から〜に賛成/反対である。1点目として〜、2点目として〜」といった書き方がシンプルでいいと思います。よろしければ参考にしてください。

 

次に、小論文では自分の意見(今回の場合、移民受け入れに賛成か反対か)、理由、理由を支持する根拠の順序で書く必要があります。

 

また、自分とは反対の意見に対して反論ができると非常に望ましいです。反論することで自分が様々な角度から問題を見ていることを試験官にアピールすることができます。

 

最後に、自分の意見(賛成か、反対か)を再度述べて文章を締めくくります。

 

以下が合格答案の例です。

 

f:id:essayexplanation:20220113162257p:plain

 

この合格答案では、最初に日本への移民受け入れに反対とした上で、反対の理由として治安の悪化、国内の民族対立を挙げ、更にはその根拠としてドイツとアメリカの事例を挙げています。

 

また、移民受け入れの賛成意見として想定される「労働力不足の解消」や「国内経済の活性化」については別の代替策を示すことで効果的に反論しています。

 

みなさん、意見対立型の問題の回答方法についてわかりましたか。正しい回答方法に基づき日頃から小論文を書くトレーニングをしていれば、確実に試験でも合格答案を書けるようになります。

 

最後になりますが、このブログの内容は以下のYoutubeでも解説しています。もしよければご視聴ください。また、Youtubeにアップしている動画スライドについても参考までに添付しておきます。

 

www.youtube.com

 

これからも皆様の小論文スキルが向上することを目指して、これからも情報発信を続けますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 

drive.google.com

第1回 小論文はどう書けばいいのか?(小論文の正しい書き方)

みなさん、こんにちは、トモです。

 

今回は「小論文はどう書けば良いのか」について解説していきます。

 

最初にみなさんがわかりやすいように作文と小論文との違いについて説明します。みなさんは、これまで学校で色々な作文を書いてきたと多いますが、作文では自分の好きなトピックをみなさんが好きなように書いてOKでした。

 

一方、小論文はそれではいけません。小論文は設問の指示にしっかり従い、自分とは年齢や価値観の異なる複数の読み手を納得させるように書かなければなりません。そのため、作文とは書き方が全く異なってきます。

 

f:id:essayexplanation:20220113170015p:plain

 

それでは小論文はどのように書けばいいのでしょうか。ずばり小論文では「設問を受けて、自分の意見を述べるとともに、その意見を裏付ける根拠を説明し、わかりやすい文章構造で、読み手を納得させる文章」を書く必要があります。おそらくこれを聞いてもほとんどの人はピンとこないと思います。でもご安心ください。これから一つ一つ丁寧に説明していきます。

 

まず1番目の「設問を受けるとは?」について説明します。これは設問の指示に忠実に従って小論文を書くということです。

 

具体的な例を挙げて説明していきましょう。2020年の埼玉大学教育学部前期の問題です。

 

f:id:essayexplanation:20220113170250p:plain

 

この設問の指示はわかりましたか?

 

指示は以下の4点です。

・最初に、定義を述べる。

・現在や日本の事例について具体例を述べる。この際、過去や外国の事例でもOK。

・具体例が定義に合致する理由を述べる。

・1080字以上1200字以下の範囲で書く(文字制限については何文字以内と指示されている場合、その数字の9割以上10割以下で書くことが推奨されます)。

 

どうでしょうか。色々な指示がありましたが、試験ではこれらの指示を1つでも無視するとそれだけで大幅減点になります。小論文にとって一番大事なのは設問の指示に必ず従うことです。みなさん、試験の際にはすぐに書き始めるのではなく、まずは設問の指示を入念にチェックして、指示に忠実に従って答案を書いてください。

 

それでは小論文を書く上での必要なポイントその2について説明していきます。その2は自分の意見を述べると言うことです。これはつまりどう言うことかと言うと、事前に読んだ問題文や設問には書かれていない新しい考えや視点を示すと言うことです。

 

つまり、問題文の文章内容を単純に追従するだけではいけません。必ず新しい情報を書くことが必要です。更に重要な点として、自分の意見を曖昧にしてはダメです。日常会話だと「あなたの言うこともわかるけど、彼の言うことにも一理あるよね」と言った話し方をよくしますが、小論文では「私の意見はA」ときっぱり言い切り、自分のスタンスをはっきりさせなければなりません。

 

理解してもらいやすくするために例を挙げて説明します。

 

f:id:essayexplanation:20220113170347p:plain

 

上の設問への答案はどのように書けば良いでしょうか。不合格答案は以下のとおりです。

 

f:id:essayexplanation:20220113170411p:plain

 

この文のどこが問題かわかりますか?

 

問題は自分の具体的な考えを一切示していない点です。この文では政府が格差を何とかすべきとしか言っておらず何ら自分の新しい意見を示せておりません。

 

次に合格答案になります。

 

f:id:essayexplanation:20220113170436p:plain

 

どうでしょう。みなさん。先程の不合格答案との違いはわかりますか?この合格答案では「子供の教育格差については是正すべき」と言った上で、具体的な対応策として「低所得者世帯に対する児童手当の支給額引上げ」と「高校・大学の教育費無償化の継続」を自分の意見として挙げています。このように必ず小論文では新しく自分の意見を示すことが必要になります。

 

もう一つ例を挙げてやっていきましょう。

 

f:id:essayexplanation:20220113170507p:plain

 

これに対する不合格答案は以下のとおりです。

 

f:id:essayexplanation:20220113170531p:plain

 

みなさん、この答案のどこがダメだかわかりますか?ダメな点は人の移動を制限すべきなのか、容認すべきなのかはっきり自分の意見を示せていない点ですね。確かに、実際には、コロナの問題のように白黒はっきりすることが難しいことがたくさんあります。ただし、小論文を書く際には必ず自分の意見やスタンスを白黒はっきりさせないと合格はできません。

 

次に合格答案です。

 

f:id:essayexplanation:20220113170557p:plain

 

合格答案では「人の移動を制限すべき」と自分のスタンスをはっきり示しています。その上で、その場合に想定される課題を挙げ、更にはその課題を解決するための対応策を示しています。今回の問題のように白黒はっきりさせづらい問題が出た場合には、自分のスタンスをどちらか明確に決めた上で、それに対する課題と解決策を明確に示すと試験では高得点が得られます。みなさん、「自分の意見を新しく述べる」「自分のスタンスをはっきりさせる」と言うことを忘れないでくださいね。

 

それでは小論文を書く上での必要なポイントその3について説明していきます。その3は「自分の意見を述べる際に、それを裏付ける根拠を示す」と言うことです。更に詳しく説明すると、実際に起きた事例や具体的な数値を根拠として示すと言うことです。

 

小論文を審査する試験官はあなたとは年齢も価値観も大きく異なります。そういった人達を納得させるには必ず実際に起きた事例や具体的な数値を根拠を示す必要があるのです。

 

ここで気をつけないといけないのは、主観的な感情、例えば「可哀想」「罪を償うべき」と言った根拠では決して読み手は納得させられないと言う点です。このような主観的な感情は一人一人異なってきます。自分とは大きく考えが異なっているかもしれない試験官を納得させるには、万人に納得してもらえる客観的な根拠が必要になってくるのです。

 

それでは根拠を示す点に関して、例題を挙げて見ていきましょう。

 

f:id:essayexplanation:20220113170624p:plain

 

これに対する不合格答案は次のとおりです。

 

f:id:essayexplanation:20220113170646p:plain

 

これは比較的簡単だったと思います。この答案には犯罪が増加する根拠が挙げられておりません。これだと試験官は「何でそう言い切れるの?増加しないかもしれないじゃないか」と思い、あなたの意見について簡単には納得してくれないでしょう。

 

次に合格答案になります。

 

f:id:essayexplanation:20220113170709p:plain

 

どうでしょう。違いがわかりましたか。この合格答案には、ドイツで犯罪が増加したと言う過去に外国で実際に起きた事例が具体的な根拠として示されています。このような根拠を示すことで、はじめて試験官はあなたの意見を受け入れ、高い評価を付けてくれます。

 

それではもう一問例題をやっていきましょう。

 

f:id:essayexplanation:20220113170729p:plain

 

これに対する不合格答案は次のとおりです。

 

f:id:essayexplanation:20220113170756p:plain

 

みなさん、何が問題か分かりましたか?これらの不合格答案は根拠として「かわいそう」とか「罪を償うべき」と言った主観的な感情を挙げています。これだと試験官を説得することはできません。

 

それでは合格答案を見ていきます。

 

f:id:essayexplanation:20220113170822p:plain

 

みなさん、この答案を見て、「確かに廃止すべきではない」と思ったのではないでしょうか。その理由は、この答案には客観的な根拠が示されているからです。この答案には死刑制度を廃止すべきではない理由として「死刑制度は犯罪の抑止力になる」点と「死刑制度により被害者遺族の精神的苦痛が和らぐ」点が挙げられています。このように自分の主観ではない客観的な効果を示すことで説得力を格段に増すことができます。

 

最後に、小論文を書く上での必要なポイントその4について説明していきます。その4は「わかりやすい文章構造で書く」と言うことです。これはつまり、不必要な言葉が含まれておらず、且つ文章の順序が適切であると言うことです。

 

これについて詳しく説明していきます。不必要な言葉を含まないと言うのは、日常会話などでよく使う前置きなどの言葉を極力省くと言うことです。何度も言いますが、小論文では自分の主張や根拠をシンプル且つクリアに示さないとなりません。

 

また、小論文を書く際には書く順序も気をつけないといけません。それは自分の意見、その理由、理由を正当化する根拠の順序で書くと言うことです。この2点を踏まえて書くととてもわかりやすい小論文になります。

 

実際に例題を挙げて、見ていきましょう。

ちょっと回答が長いですが最後の例題なので頑張ってください。

 

f:id:essayexplanation:20220113170849p:plain

 

不合格回答は以下のとおりです。 

 

f:id:essayexplanation:20220113170915p:plain

 

みなさん、回答を聞いていてどう感じましたか。話が長く感じませんでしたか。これからその理由を説明していきます。

 

話が長かった理由は以下の赤字の部分が余計な言葉だからです。このように回答の要旨とは直接関係ない言葉がたくさん入っていると、自分の意見が聞き手に伝わりにくくなってしまいます。

 

f:id:essayexplanation:20220113170934p:plain

 

受験生のみなさんは小論文のプロに添削などを受けることで、このような無駄な言葉を省き、要旨だけクリアに書けるように練習していきましょう。

 

また、上記の不合格答案には、「少子高齢化の問題として社会保障費の増大を招く」と言う自分が考える課題と「費用の増加が社会保障制度の維持を困難にする」というその課題の理由を挙げていますが、その理由を正当化する客観的な根拠が抜けています。これでは試験官に自分の意見を納得させるのは難しいです。

 

それでは、合格答案について見ていきましょう。

 

f:id:essayexplanation:20220113170958p:plain

 

文章は非常に長いですが、内容について比較的すんなり頭に入ってきたのではないでしょうか。それでは、その理由を説明していきます。

 

この文章には回答の要旨から逸脱するような余計な言葉が一切含まれていません。そのため、聞いていても内容がすんなり頭に入ってくるのです。更に、この答案には先程の不合格答案とは異なり、社会保障制度が維持できなくなる根拠として、日本政府の債務が増加している事実を客観的な数字を出して示しています。このように自分の意見、理由、理由を正当化する根拠を順序立てて説明すると、文章に高い説得力を持たせることができるのです。

 

どうでしたでしょうか。だいぶ小論文について理解が深まったのではないでしょうか?小論文で高得点を取るには、正しい小論文の書き方を理解した上で、何度も練習することが必要になります。みなさん、今日学んだことをしっかりと理解して次に進んでいきましょう。

 

最後になりますが、このブログの内容は以下のYoutubeでも解説しています。もしよければご視聴ください。また、Youtubeにアップしている動画スライドについても参考までに添付しておきます。

 

www.youtube.com

 

皆様の小論文スキルが向上することを目指して、これからも情報発信を続けますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 

drive.google.com