日本一わかりやすい小論文講座

大学受験に役立つ小論文の書き方について解説します

第1回 小論文はどう書けばいいのか?(小論文の正しい書き方)

みなさん、こんにちは、トモです。

 

今回は「小論文はどう書けば良いのか」について解説していきます。

 

最初にみなさんがわかりやすいように作文と小論文との違いについて説明します。みなさんは、これまで学校で色々な作文を書いてきたと多いますが、作文では自分の好きなトピックをみなさんが好きなように書いてOKでした。

 

一方、小論文はそれではいけません。小論文は設問の指示にしっかり従い、自分とは年齢や価値観の異なる複数の読み手を納得させるように書かなければなりません。そのため、作文とは書き方が全く異なってきます。

 

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それでは小論文はどのように書けばいいのでしょうか。ずばり小論文では「設問を受けて、自分の意見を述べるとともに、その意見を裏付ける根拠を説明し、わかりやすい文章構造で、読み手を納得させる文章」を書く必要があります。おそらくこれを聞いてもほとんどの人はピンとこないと思います。でもご安心ください。これから一つ一つ丁寧に説明していきます。

 

まず1番目の「設問を受けるとは?」について説明します。これは設問の指示に忠実に従って小論文を書くということです。

 

具体的な例を挙げて説明していきましょう。2020年の埼玉大学教育学部前期の問題です。

 

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この設問の指示はわかりましたか?

 

指示は以下の4点です。

・最初に、定義を述べる。

・現在や日本の事例について具体例を述べる。この際、過去や外国の事例でもOK。

・具体例が定義に合致する理由を述べる。

・1080字以上1200字以下の範囲で書く(文字制限については何文字以内と指示されている場合、その数字の9割以上10割以下で書くことが推奨されます)。

 

どうでしょうか。色々な指示がありましたが、試験ではこれらの指示を1つでも無視するとそれだけで大幅減点になります。小論文にとって一番大事なのは設問の指示に必ず従うことです。みなさん、試験の際にはすぐに書き始めるのではなく、まずは設問の指示を入念にチェックして、指示に忠実に従って答案を書いてください。

 

それでは小論文を書く上での必要なポイントその2について説明していきます。その2は自分の意見を述べると言うことです。これはつまりどう言うことかと言うと、事前に読んだ問題文や設問には書かれていない新しい考えや視点を示すと言うことです。

 

つまり、問題文の文章内容を単純に追従するだけではいけません。必ず新しい情報を書くことが必要です。更に重要な点として、自分の意見を曖昧にしてはダメです。日常会話だと「あなたの言うこともわかるけど、彼の言うことにも一理あるよね」と言った話し方をよくしますが、小論文では「私の意見はA」ときっぱり言い切り、自分のスタンスをはっきりさせなければなりません。

 

理解してもらいやすくするために例を挙げて説明します。

 

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上の設問への答案はどのように書けば良いでしょうか。不合格答案は以下のとおりです。

 

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この文のどこが問題かわかりますか?

 

問題は自分の具体的な考えを一切示していない点です。この文では政府が格差を何とかすべきとしか言っておらず何ら自分の新しい意見を示せておりません。

 

次に合格答案になります。

 

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どうでしょう。みなさん。先程の不合格答案との違いはわかりますか?この合格答案では「子供の教育格差については是正すべき」と言った上で、具体的な対応策として「低所得者世帯に対する児童手当の支給額引上げ」と「高校・大学の教育費無償化の継続」を自分の意見として挙げています。このように必ず小論文では新しく自分の意見を示すことが必要になります。

 

もう一つ例を挙げてやっていきましょう。

 

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これに対する不合格答案は以下のとおりです。

 

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みなさん、この答案のどこがダメだかわかりますか?ダメな点は人の移動を制限すべきなのか、容認すべきなのかはっきり自分の意見を示せていない点ですね。確かに、実際には、コロナの問題のように白黒はっきりすることが難しいことがたくさんあります。ただし、小論文を書く際には必ず自分の意見やスタンスを白黒はっきりさせないと合格はできません。

 

次に合格答案です。

 

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合格答案では「人の移動を制限すべき」と自分のスタンスをはっきり示しています。その上で、その場合に想定される課題を挙げ、更にはその課題を解決するための対応策を示しています。今回の問題のように白黒はっきりさせづらい問題が出た場合には、自分のスタンスをどちらか明確に決めた上で、それに対する課題と解決策を明確に示すと試験では高得点が得られます。みなさん、「自分の意見を新しく述べる」「自分のスタンスをはっきりさせる」と言うことを忘れないでくださいね。

 

それでは小論文を書く上での必要なポイントその3について説明していきます。その3は「自分の意見を述べる際に、それを裏付ける根拠を示す」と言うことです。更に詳しく説明すると、実際に起きた事例や具体的な数値を根拠として示すと言うことです。

 

小論文を審査する試験官はあなたとは年齢も価値観も大きく異なります。そういった人達を納得させるには必ず実際に起きた事例や具体的な数値を根拠を示す必要があるのです。

 

ここで気をつけないといけないのは、主観的な感情、例えば「可哀想」「罪を償うべき」と言った根拠では決して読み手は納得させられないと言う点です。このような主観的な感情は一人一人異なってきます。自分とは大きく考えが異なっているかもしれない試験官を納得させるには、万人に納得してもらえる客観的な根拠が必要になってくるのです。

 

それでは根拠を示す点に関して、例題を挙げて見ていきましょう。

 

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これに対する不合格答案は次のとおりです。

 

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これは比較的簡単だったと思います。この答案には犯罪が増加する根拠が挙げられておりません。これだと試験官は「何でそう言い切れるの?増加しないかもしれないじゃないか」と思い、あなたの意見について簡単には納得してくれないでしょう。

 

次に合格答案になります。

 

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どうでしょう。違いがわかりましたか。この合格答案には、ドイツで犯罪が増加したと言う過去に外国で実際に起きた事例が具体的な根拠として示されています。このような根拠を示すことで、はじめて試験官はあなたの意見を受け入れ、高い評価を付けてくれます。

 

それではもう一問例題をやっていきましょう。

 

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これに対する不合格答案は次のとおりです。

 

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みなさん、何が問題か分かりましたか?これらの不合格答案は根拠として「かわいそう」とか「罪を償うべき」と言った主観的な感情を挙げています。これだと試験官を説得することはできません。

 

それでは合格答案を見ていきます。

 

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みなさん、この答案を見て、「確かに廃止すべきではない」と思ったのではないでしょうか。その理由は、この答案には客観的な根拠が示されているからです。この答案には死刑制度を廃止すべきではない理由として「死刑制度は犯罪の抑止力になる」点と「死刑制度により被害者遺族の精神的苦痛が和らぐ」点が挙げられています。このように自分の主観ではない客観的な効果を示すことで説得力を格段に増すことができます。

 

最後に、小論文を書く上での必要なポイントその4について説明していきます。その4は「わかりやすい文章構造で書く」と言うことです。これはつまり、不必要な言葉が含まれておらず、且つ文章の順序が適切であると言うことです。

 

これについて詳しく説明していきます。不必要な言葉を含まないと言うのは、日常会話などでよく使う前置きなどの言葉を極力省くと言うことです。何度も言いますが、小論文では自分の主張や根拠をシンプル且つクリアに示さないとなりません。

 

また、小論文を書く際には書く順序も気をつけないといけません。それは自分の意見、その理由、理由を正当化する根拠の順序で書くと言うことです。この2点を踏まえて書くととてもわかりやすい小論文になります。

 

実際に例題を挙げて、見ていきましょう。

ちょっと回答が長いですが最後の例題なので頑張ってください。

 

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不合格回答は以下のとおりです。 

 

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みなさん、回答を聞いていてどう感じましたか。話が長く感じませんでしたか。これからその理由を説明していきます。

 

話が長かった理由は以下の赤字の部分が余計な言葉だからです。このように回答の要旨とは直接関係ない言葉がたくさん入っていると、自分の意見が聞き手に伝わりにくくなってしまいます。

 

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受験生のみなさんは小論文のプロに添削などを受けることで、このような無駄な言葉を省き、要旨だけクリアに書けるように練習していきましょう。

 

また、上記の不合格答案には、「少子高齢化の問題として社会保障費の増大を招く」と言う自分が考える課題と「費用の増加が社会保障制度の維持を困難にする」というその課題の理由を挙げていますが、その理由を正当化する客観的な根拠が抜けています。これでは試験官に自分の意見を納得させるのは難しいです。

 

それでは、合格答案について見ていきましょう。

 

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文章は非常に長いですが、内容について比較的すんなり頭に入ってきたのではないでしょうか。それでは、その理由を説明していきます。

 

この文章には回答の要旨から逸脱するような余計な言葉が一切含まれていません。そのため、聞いていても内容がすんなり頭に入ってくるのです。更に、この答案には先程の不合格答案とは異なり、社会保障制度が維持できなくなる根拠として、日本政府の債務が増加している事実を客観的な数字を出して示しています。このように自分の意見、理由、理由を正当化する根拠を順序立てて説明すると、文章に高い説得力を持たせることができるのです。

 

どうでしたでしょうか。だいぶ小論文について理解が深まったのではないでしょうか?小論文で高得点を取るには、正しい小論文の書き方を理解した上で、何度も練習することが必要になります。みなさん、今日学んだことをしっかりと理解して次に進んでいきましょう。

 

最後になりますが、このブログの内容は以下のYoutubeでも解説しています。もしよければご視聴ください。また、Youtubeにアップしている動画スライドについても参考までに添付しておきます。

 

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皆様の小論文スキルが向上することを目指して、これからも情報発信を続けますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 

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