日本一わかりやすい小論文講座

大学受験に役立つ小論文の書き方について解説します

第4回 小論文の出題パターン3−1 文章タイプの意見提示の問題

今回は小論文の出題パターンの1つである文章とセットとなった意見提示型の問題に対する回答方法について解説していきます。意見提示型の問題は最初に文章を読んで答えるパターンと最初にグラフ・資料を読んで答えるパターンがありますが、今回は前者について取り扱います。

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文章とセットとなった意見提示型の問題の場合、最初に文章を読むことになります。多くの場合、最初に文章の要約が求められ、その次に文章に対する自分の意見を提示することになります。

 

それではまずは、要約について説明していきます。そもそも筆者は文章を書く際、自分の意見を読者に伝えるために、自分の言いたい事を表現を変えて何度も繰り返し述べます。更に、読者の理解を深めるために具体例を出したり、あえて反対意見を示してそれを反論したりします。

 

要約とはそのような文章の中から、筆者が伝えたいポイントのみを抽出して簡潔にまとめる作業になります。

 

要約するにあたっての具体的なプロセスは下図のとおりです。

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まず1番目に、タイトルに注目しましょう。タイトルは筆者の言いたいことを示唆していることが多く大きなヒントになります。

 

2番目に、具体例や反対意見へ反論しているパートを削除しましょう。これらは筆者が言いたいことを読者に伝えるためのサブパートであり、メインパートではありません。

 

3番目に、繰り返し述べられているパートをチェックしましょう。筆者は自分が伝えたいことを繰り返す傾向が高く、メインパートである可能性が高いです。

 

4番目に筆者の主張を示すワードをチェックしましょう。文の最後が「~と思う」「~と考えられる」「~すべき」「~である」「~しなければならない」「~が望ましい」「~が必要だ」と言ったワードで終わっている場合、筆者の主張を示すメインパートであることが多いです。

 

5番目には、結論を導く接続詞をチェックしましょう。つまり、したがって、要するに、すなわち、結論として等の接続詞はその後に筆者の言いたかったメインパートである結論がくる可能性が高いです。

 

それでは、例題をやってみましょう。

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それではこの文章の要約をやっていきましょう。

 

上の文章に対して、下図の通り、重要なパートは青字、削除すべきパートは赤字でマークしてみました。一つ一つチェックしていきましょう。

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まず題名は筆者の言いたいことを示している可能性が高いので青字でチェックしました。

 

次に、専門性を磨く前にまず幅広い教養を身につけることが必要である。という文ですが「~である」という筆者の主張を示すワードがあるのでメインパートとして青字でチェックします。

 

例えば生物学の研究をする際に地理や化学の知識が参考になることがよくあると思うが、という文は逆に具体例になるので削除すべきサブパートとして赤字でマークします。

 

「学問とはお互いに密接に関わり合っており切り離せるものではないのである。したがって、専門分野で活躍できる研究者には教養の知識が不可欠なのである。」の文は「である」という筆者の主張を示す言葉と結論を導く「したがって」の接続語があるのでメインパートとして青字でチェックします。

 

「教養を身につけるだけでは深い専門性が身につかないという意見もあると思うが、」という文は反論を示しているので削除すべきサブパートとして赤字でマークします。

 

最後に、一般教養を身につけないと何も始まらない。」の文は前に述べていることを繰り返しているのでメインパートとして青字でマークします。

 

それでは文章中の青字パートを全て書き出してみましょう。

○専門性を磨く前に幅広い教養を身につけることが必要

○学問とは互いに密接に関わり合っている

○専門分野で活躍できる研究者には教養の知識が不可欠

○一般教養を身につけないと何も始まらない

 

ここで内容が重複しているパートを下図の通り赤字取り消し線で削除します。要約を書くときには繰り返しは避けて簡潔に書くことが求められるからです。

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残ったパートを組み合わせると要約は以下の通りになります。

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皆さん、要約のやり方はわかりましたか。

要約は現代文などでもよく出ますので是非ともやり方をマスターしてしましょう。

 

それでは設問1 の要約に続き、以下の設問2を回答していきましょう

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なお、意見提示型の問題で回答する際のポイントは以下の通りです。

①筆者の意見を追従するだけではなく、自分の新しい意見を書く。

②意見、理由、理由を支持する根拠の順序で書く。

根拠には客観的な事実を挙げる。

 

それでは合格答案を見てみましょう。

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この合格答案では、最初に専門性を磨く前に幅広い教養を身につけるべきという筆者の意見に賛成を示した上で、学生が一般教養を身につけるために、東京大学京都大学の実例を挙げつつ入試試験や大学カリキュラムについて自分の新しい意見を示しています。

 

みなさん、文章を読んで答える意見提示型の問題の回答方法についてわかりましたか。正しい回答方法に基づき日頃から小論文を書くトレーニングをしていれば、確実に試験でも合格答案を書けるようになります。

 

最後になりますが、このブログの内容は以下のYoutubeでも解説しています。もしよければご視聴ください。また、Youtubeにアップしている動画スライドについても参考までに添付しておきます。

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これからも皆様の小論文スキルが向上することを目指して、これからも情報発信を続けますので、引き続きよろしくお願いいたします。

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