日本一わかりやすい小論文講座

大学受験に役立つ小論文の書き方について解説します

第7回 女性の社会進出について(意見提示型の小論文問題)

 今回は女性の社会進出に関する小論文の問題です。早速、問題をやっていきましょう。

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 それでは資料1から順番に見ていきましょう。

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 資料1は女性の年齢階級別労働力率の推移です。つまり各年齢ごとの働いている女性の割合を表しています。

 

 グラフを見るときには必ず全体のトレンドと特徴的なポイントの両方をチェックしましょう。今回の折れ線グラフでは、全体のトレンドとして各年代ともM字カーブを描いており、大体20代後半で多くの女性が働くのを辞めて、30代後半頃に再度働き始めることがわかります。

 

 一方、特徴的なポイントとしては、20代後半あたりの各年代の違いが挙げられます。昭和から平成そして令和になるにつれて20代で離職する女性の割合が低下傾向にあります。

 

 以上をまとめると、「1980年には20代後半で離職する女性が多かったが、2020年には若い時期での離職が減り、50代まで高い就業率を維持するようになった。」と言えるでしょう。

 

 次に資料2です。

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 資料2は女性が職業を持つことに対する意識の変化です。このグラフからは全体トレンドとして男女共に子供ができてもずっと働く方がいいと考える人が年々増加していることがわかります。

 

 最後に資料3です。このグラフは年齢別の非正規労働者割合の推移です。

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 このグラフは赤い折れ線グラフに特徴的なポイントがあります。それは右側の男性の非正規労働者の割合は令和2年で20%程度に過ぎないですが、同時期の女性の割合は50%程度にのぼるという点です。

 

 以上のグラフから読み取れる内容をまとめると次の通りになります。

 

問1の回答

 1980年には20代で離職する女性が多かったものの、2020年には男女共に50代まで高い就業率を維持するようになっている。また、男女共に「女性は子供を産んでも働き続けた方がいい」と考える割合が年々増加傾向にある。しかし、非正規社員の割合が男性では20%程度に過ぎないが女性は50%に達しており、男女間の労働状況に大きな格差が生じている。

 

 なお、資料から読み取れる内容を書く際には、必ず全ての資料に言及してください。出題者は全ての資料に対して何らかの意図を持っています。そのため、言及しない資料があるとそれだけで減点となってしまいます。みなさん、この点について注意してください。

 

 それでは問2をやっていきましょう。

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 問1で資料から読み取れる内容をまとめた際、女性の非正規労働の比率が高く男女間で労働状況の格差が課題としてあることがわかりました。小論文では課題がある際には必ずその解決策を示す必要があります。なのでここでは解決策について書くことになります。

 

 なお、解決策を書く際には、その解決策がどのように効果を発揮するかについて具体的に説明する必要があります。

 

 最後に、その解決策が有効である証拠として過去や他国の事例もしくは客観的な数値を根拠として示すことが望ましいです。

 

 それでは合格答案を見ていきましょう。

 

問2の回答

 現在、女性が結婚や出産をしても途中で仕事を辞めずに働き続ける傾向が強まっている。しかし、女性の非正規割合は男性に比べて非常に高く、この点について男女間の労働状況の格差を早急に是正する必要がある。

 労働状況の格差是正の対策として日本政府は女性のみならず、男性に対して育児休暇の取得を積極的に促す政策を作るべきである。もし、男性も育児休暇を積極的に取得するようになれば、育児に対する女性の負担が大幅に軽減され、女性が育児と両立するために、非正規として短時間労働を選ばなければならない状況も緩和されるだろう。

 男性の育児への関与を高めるにあたり、北欧のスウェーデンの事例が参考になるであろう。スウェーデンでは父親と母親がそれぞれ8ヶ月育児休暇を取得できる制度になっており、父親が育児休暇を取得しないとせっかく与えられた休暇が消滅することとなる。更に父親が育児休暇を取得すると税制優遇が受けられる。このような制度によりスウェーデンでは男性の育児休暇取得率が非常に高く、両親で育児負担を共有するのが一般的になっている。日本政府はスウェーデンの事例を参考にして、父親と母親に与えられる育児休暇を厳密に分けるとともに、日本企業に対して男性社員の育児休暇取得の義務目標を課すことで男性の育児への関与を積極的に促すべきである。そうすれば、男女間の労働状況の格差が是正されていくであろう。

 

 この合格答案では、男女間の労働状況の格差是正として男性の育児休暇取得を促す政策を日本政府が作ることを提案すると共に、スウェーデンの先進事例を根拠として言及しています。

 

 みなさん、どうでしたでしょうか?正しい回答方法に基づき日頃から小論文を書くトレーニングをしていれば、確実に試験でも合格答案を書けるようになります。

 

 最後になりますが、このブログの内容は以下のYoutubeでも解説しています。もしよければご視聴ください。また、Youtubeにアップしている動画スライドについても参考までに添付しておきます。Twitterもやっているのでよろしければフォローお願いします()。

 

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 これからも皆様の小論文スキルが向上することを目指して、これからも情報発信を続けますので、引き続きよろしくお願いいたします。

 

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